一汁三菜、はじめの一歩

はじめての取引先!

2025-07-10

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仁尾町に新築オープンする宿にICHIEnoZEN

  仁尾町に出来る新築の宿から「料理提供がしたい」と連絡を友人が仲介してくれた。 どこか海の匂いの残る道を車で抜け、たどり着いたのは、まだ完成したばかりの木の香りが残る静かな建物だった。

  迎えてくれたのは、実家の古民家をほぼ作り直したというオーナー。 「お客様に“ここでしか味わえない体験”を提供したいんです。」 そう語る彼の姿に、数年前、自分が200年の武家屋敷を再生して家中舎を始めた頃の記憶がよみがえる。

 京都の味を地元の素材と向き合い、空間と時間を味に落とし込むという、自分なりの料理の哲学。それを初めて外の場所で試す機会が、いま目の前にある。 まだ家具も揃っていない静かなダイニングで、私たちは料理の方向性、提供のスタイル、季節ごとの展開などをゆっくり話した。

 「地元の食材を中心に、その時々の“旬”を詰め込んだ懐石スタイルを提案したい」 「仕入れや器、演出まで一体となった“旅の記憶になる料理”を提供したい」 気がつけば日も暮れ、窓の外には仁尾の穏やかな夕焼けが広がっていた。

  ICHIEnoZENとして、初めて外の地に根を伸ばすことになるこの宿は、きっと新しい“縁”の始まりになる。 「ここで、はじまりの一膳を」 そんな思いを胸に、帰路についた。