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2025-07-01

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なぜ家中舎の料理を外部の宿に提供することを考えたのか?

 この先、食材の価格はさらに高騰し、飲食業界はますます厳しさを増していく。 特に地方で店を構え、地元食材にこだわった料理を続けていくには、それ相応の覚悟と柔軟な戦略が必要だ。 自社店舗だけで自立し続けることが、果たして今の時代に本当に現実的なのか——そう考えるようになったのは、ここ1〜2年のことだ。

 もちろん、家中舎という空間でしかできない料理体験には、今も誇りを持っている。 だが同時に、その価値やスタイルをもっと多くの場所へ“分散”させることで、新しい可能性をつくれるのではないかとも感じ始めた。

  「店舗」という枠に囚われず、場所に応じた“文脈ある料理”を展開する。 それは単なる出張料理ではなく、「その土地の空気」「その場に訪れる人々」「宿のもつストーリー」に寄り添った一膳を構成するという試みでもある。 これは、料理人としての表現の幅を広げる挑戦であり、 同時に時代を読み、事業としての持続可能性を高めていくための一手でもある。

 地方にはまだまだ眠っている魅力的な空間や宿がある。 そこで生まれる“食”を通じた縁が、きっとまた次の何かを育ててくれるはずだ。 それが、家中舎の料理を外部へと展開しはじめた理由のひとつである。